第27章 真相
「アレン…トマさんも」
駆け寄る二人の姿に、思わず安堵する。
「オレ、大丈夫じゃねぇんだけど…」
「あ、大丈夫そうですね。よかった」
顔面を押さえて唸るラビを見て一言、笑顔でアレンが頷く。
うん、いつものアレンだ。
「鉄槌で飛んでくる姿を、ティムキャンピーが見つけてくれたんです」
あの黄色い閃光は、どうやらティムだったらしい。
「そっか…ありがとう、ティム」
トマさんの説明に、ティムに礼を言えば、ニッとギザギザの歯を見せて笑ってくる。
うん、文句なく可愛い。
癒しマスコットキャラですね。
「全く、方向音痴なのはどっちですか。ずっと捜してたんですよ」
「それは悪かったけどさ、顔面に物理攻撃はないって」
「一日中捜させた罰です」
真っ赤になった額を擦りながら呟くラビに、きっぱりとアレンが言い切る。
今回ばかりは、アレンを方向音痴だなんて責められないと思う。
すると眉を寄せたままの顔が、今度は私に向いた。
まずい、怒られる。
「あまり心配させないで下さい」
「…すみません」
とにかく開口一番、頭を下げる。
普段優しい分、アレンは怒ったら怖いからなぁ。
というか、黒い。
恐る恐る顔を上げれば、はぁっと息をついたアレンの手が私の頬の煤跡を拭ってくれた。
「何かあったんですか?あちこち汚れてる」
「話せば長くなるけど…屋敷の下に、大きな地下迷路があって」
「地下迷路?」
「電波も届かないし色々あって、今まで出てこれなくて。ごめんなさい」
「…いえ、」
一日中、消息不明じゃ心配にもなるよね。
申し訳なく言えばしっかりした説明もしてないのに、首を横に振るとアレンは不意に優しく笑ってくれた。
「南さんが無事なら、それでいいです」
…うん。
やっぱり紳士って偉大だと思う。
「オレとの扱い、違くねぇ?」
「じゃあ優しくしてあげましょうか。顔の汚れ、拭いてあげますよ」
「あ、やっぱいいや。うん」
にこにこと黒い笑顔のアレンに、ラビは即座に首を横に振る。
そんな光景が妙に懐かしく思えて、自然と口元に笑みが浮かんでいた。
「ご無事でしたか…!」
この姿を見るまでは。