第3章 私の休日。
「遅いから迎えに…って…南、さ?」
「え?うん…」
ひらひらと手を振ってやって来たラビが、不意に目をぱしぱしと瞬いて動きを止める。
「うわ…っ」
そして徐に片手を自分の口を塞ぐようにして当てた。
え、何その反応。
「すげぇ綺麗さ」
ふわりと笑ったかと思えば、彼の口から次に出てきたのは予想外の褒め言葉で思わず顔が熱くなる。
いや、あの。
急にそういうこと言わないの!
「吃驚したけど、予想通り…や、予想以上さな」
「ほ、褒め過ぎだから」
「あれ、照れてる?南、顔赤いさー」
「ち、違…っ」
「あー…お前ら、どっか行くのか?」
ラビと言葉の掛け合いをしている最中に、取り繕うような声が聞こえてはっとする。
そうだ、リーバー班長がいたんだ…!
「いえ、ちょっと…」
「今から南とデートなんさ♪」
「ちょっ、何言ってんの!」
言葉を遮って、私の肩を抱き寄せたラビが笑う。
その言葉に思わずぎょっとした。
そんな冗談、一番リーバー班長には言ったら駄目だから!
私が困る!
「違います、遊びに付き合うだけです!えーっと…保護者的な!?」
「うわ、酷ぇ!オレそこまでガキじゃねぇけど」
「煩いな!いいんです、保護者なんです!いいからほら行くよ!」
「うわっ押すなよ!」
「失礼します、リーバー班長っ」
「あ、ああ…」
絶対、今、顔、赤いかも。
ぐいぐいとラビの背中を押して、彼の言う言葉には耳も貸さず。
私は逃げるようにその場から立ち去った。