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科学班の恋【D.Gray-man】

第24章 イノセンス



やっぱり此処はAKUMAの隠れ家だったんさな。
…でもなんでわざわざ、こんな地下に?



「様子見だけのツモりだったのにィ。オニイサンあちこち荒らすから。出て来ちゃっタじゃない」

「頼んでねぇよ。お前が南を攫ったんさ?」

「誰そレ?」



キョトンと首を傾げるそいつは、自我を保たない球体状のレベル1のAKUMAとは違う。
レベル2かレベル3か。
どっちにしてもイノセンスがない今の状態じゃまずい。
距離を取るようにして一歩後退る。



「ああ、あの弱そうナ人間」



ピンときたように不意にAKUMAが声を上げる。



「いいワね。身体はひ弱そうだけれど、頭は使ってソうだったから。頭の柔軟な人間はとってもオイシイのよ。オニイサン」

「…此処で人を攫って殺してたのは、お前だったんさな」



言動から、此処で人間の頭に穴開けてたのは十中八九こいつだろう。
AKUMAってのは、ほんと趣味悪ィさ。



「言われタことをしタだけよ。まぁ、ワタシも楽しんでヤッタけど」



それに、とAKUMAが長い指を立てて付け加える。



「ワタシは美食家だカら。脳味噌しか頂かナイわよ」



ふざけた姿をしてる癖に優雅に一礼をして、AKUMAはにんまりと目を細めた。



「体はぜーンぶ、あげたワ」

「あげる?」

「うフフ。飢えては食を択ばず、と謂うデショう」



問いには答えず意味深に笑うだけ。
カタコトな変な喋り方をする癖に、やけに頭が回る物言いさ。
どうやらレベルは高い方らしい。



「ワタシ、お腹が減ってルの。男は数日前に食べたバカリだからオニイサンより彼女がイイわ。あのコをクレたら見逃してアゲル」



AKUMAの長い手が自分の腹部を撫でる。
すると単なる模様かと思っていた腹部の巨大な唇が、ガパリと開いた。
そこにはギザギザの鋭い歯が覗いていて、口の隙間に挟まったマントの切れ端はどう見たって見覚えがあった。

こいつがファインダーを殺したのか。



「誰がやるかよ」



目の前のAKUMAを睨む。

南が消えた原因はわからないけど、こいつを野放しにしていたら駄目だ。
湧き上がる感情に反応するかのように、僅かに開いた掌の先が、ジリッと一瞬熱くなった。



…成程。

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