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科学班の恋【D.Gray-man】

第24章 イノセンス



来た時は、多分微弱過ぎて気付かなかった。
今は視界が機能していない分、その臭いに気付けたんだろう。

辿るように其処に向かう。

今はなんでもいい、情報を集めねぇと。
アレン達の手を借りに外に戻る暇なんてない。



「…っ」



狭い通路を進めば、どんどん臭いは強さを増していく。
その部屋に辿り着くと、あの生ゴミ捨て場程じゃないけれど確かに腐臭がした。



「…道理で首がなかった訳さ」



暗闇に慣れた目が、ぼんやりとその輪郭を映して足元に転がるそれを一つ手に取る。

煤汚れたそれは、白骨化した人の頭だった。

あの部屋の骨は全部胴や手足のもので、頭だけは存在していなかった。
此処に集めて捨てられていたのか。



「穴?」



手探りで触れば、頭蓋骨に穴を見つける。
よくよく他の骨も探れば、同じくどれも穴が開いていた。
それが致命傷となったのか、それとも殺した後に開けた穴か。
荒削りな穴の状態から、それは治療じゃなく明らかに攻撃する意図で付けられたものだとわかる。

でも誰に?



「…AKUMAか」



明確な理由なんてなかった。
強いて言うなら、数年エクソシストをやってる勘みたいなもんか。



ジャリ、



背後で、砕けた骨を踏みつけた足音が鳴る。






「ご名答」






反射的に振り返れば、暗闇にぼうっと光が宿る。
その体から発光するかのように、微弱な光は辺りを照らしていた。

地面に付きそうな程、奇妙に長い腕。
反対に両足は極端に短く、ゆらゆらと体を左右に揺らしながらバランスを取っている。

それは、なんとも奇妙な姿をしていた。



「ワタシの家を引っ掻き回サナイでよ、オニイサン」



真っ白な肌に目元には縦線の入った模様。
ピエロみたいな顔をしたそいつの額には、星マークが浮かび上がっている。
にんまりと赤く主張するように大袈裟にメークされた口元が、弧を描いて笑った。



───AKUMAだ。

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