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科学班の恋【D.Gray-man】

第85章 そして ここから



「信用されたいなら、ちゃんと戻って下さいね」

「ハイハイ」



大きな背中がようやく此方を向いて、保管室の出口へと向かってくれた。
良かった。



「しかしあんまり煩いと、馬鹿弟子みたいに見えてくるぞ」

「それだけアレンも心配してるってことです。言われるうちが華ですよ、元帥」

「女からの心配ならいい。男の心配はいらん」



またそんなこと言って…。



ガチャッ



それでもなんだかんだアレンの面倒は見てるんだから、なんだかんだ自分の弟子が可愛いんじゃないかなぁ。



ガチャッガチャッ



じゃなきゃクロス元帥の性格上、あっさり見捨てても可笑しくないし。



ガチャッガチャッガチャッ



そんなこと直接言ったら凄く嫌な顔はされそうだけど…ってちょっと待って。



「あの…クロス元帥?」

「うん?」

「さっきから凄く、ガチャガチャ鳴ってますが…」



保管室の扉の取っ手を何度も何度も。
なんですか、開け方忘れたんですか?



「開け難いなら私がやりま」

「開かん」

「……はい?」



今、なんて?



「開かんと言ったんだ」



………。



「えなんて?」



言葉ははっきり聞こえてた。
でもいまいち内容が掴み切れない。
思わず真顔で尋ねれば、クロス元帥も真顔で此方を見てくる。



「扉が開かん。自動で施錠される扉なのか?此処は」

「そんなことは…ち、ちょっと代わって下さい」



ゾンビ化した神田の手から逃れる為に逃げ込んだ時も、内側のツマミ式の鍵をかけたし。
自動で鍵がかかる仕組みなんてない。
ちゃんと内側からの鍵は開いてることを確認して、今度は私が取っ手を引く。
なのにやっぱりガチガチと引っ掛かるような音を立てる扉に、血の気が引いた。



「え、なんでっ?」



確かに外側から鍵を差す仕組みだけど、誰かが勝手に鍵をかけて出ていった音なんてしなかったし。
例え音はしなくても、そんなことされたら元帥格であるこの人が気付かない訳がない。

え、本当になんで?
なんで開かないのっ?

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