• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第83章 私の好きなひと。《リーバーED》



オレだったら絶対覗いてた。
だって気になるし。
誰もいない空間で男と二人きりの南なんてさ。

男なら誰だって気になるだろ。
好きな女の動向は。

でもこの目の前の男は、自分の欲やプライドより他人への義理を重んじる。
それで人生損してんじゃないかってくらい、真っ直ぐに。
そういうのなんて言うんだっけ…ああ、あれだ。
貧乏クジを引くっつーんだ。

そんなリーバーは、絶対的に恋愛に不向きだ。
恋の駆け引きなんて到底できないだろうし、空回りして終わるパターンもきっと多い。



「はんちょってさ…本当、馬鹿だよなぁ…」

「…なんだしみじみと。怒っていいか」

「だって本当のことだし」



でも、そんなリーバーだから、南は好きになったんだろう。
…そんなリーバーだから、仕方ないと思えてしまうんだろう。

南を譲るなら、アレンやユウやクロス元帥じゃ駄目だ。
オレには到底真似できないくらい、人間味ある奴じゃねぇと。



「じゃ、オレらの話も聞かなかったんさな。ヨカッタヨカッタ」

「…ラビ」



フラれるところを恋敵に見られんのは、死んでもごめんさ。

両手を後頭部に回しながら再度Uターン。
廊下を進めば、気後れしたリーバーの声が呼び止めた。



「なんさ?」



顔だけ振り返れば、またも気まずい顔のリーバーと出会す。
何か言いたげな顔で、でも口は開かない。

…本当、馬鹿だよなぁ。

学はすげぇあるのに、人として不器用。
仕事では上司に口も手も出せるのに、恋愛となるとてんで駄目。
そういうリーバーの姿を見ていると、そんな相手に落ち込む自分が少しだけ阿呆らしく思えた。

…今は、まだ痛みもするけど。
いつか思い手話にでもできたら。



「はんちょは、もうちょい子供にならなきゃ駄目さ」

「は?なんだ急に」

「菓子を強請る子供みたいにさ」

「甘いもんは特に好きな訳じゃ…」

「オレは割と好きだけど。食いもんの甘さも、」



だけど今はまだ、我儘させてもらうさ。



「南の甘さも」

「…は?」

「じゃーなー」

「それはどういう意味…おい!ラビ!」



オレはオレ。
リーバーとは違う。
だから背中を押してやる義理なんて、ねぇからな。



精々、最後くらい振り回されろってんだ。









/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp