• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第22章 暗闇の中



「じゃ、科学班にもその技量の凄さを、身を持って実感してもらうために」

「はい?」



脱いだ団服の上着を南に羽織らせる。



「それ着てろよ。此処、割と寒いし」

「でも、それじゃラビが寒いんじゃ…」

「何度も言ってんだろ?オレは南より丈夫なんだって」



南が誰かを特別な目で見ていることは知ってる。
…それでもちゃんと答えを出すって言ってくれたから。
その間は…オレもちゃんと待とうと思った。

真正面からぶつかってきてくれた南のように、ちゃんと向き合おうって。
じゃねぇと男として格好悪いだろ。



キキッ



「ありが───…ひっ!?」



礼を言おうとした南の声が小さな悲鳴に変わる。
不意に暗闇から届く微かな鳴き声と足音。
目線を向ければ、小さな塊の影が一瞬だけ見えた。
鼠かなんかだな、あれ。



「なんさ、鼠だろ。ただの」

「あ、そう…鼠ね、鼠…」



ふと腕に違和感。
目線を落とせば、南の手がしっかりとオレの服を握ってる。

………。



「…怖ぇの?鼠が」

「……別に。鼠なんか怖くないよ」



問えば、そっぽを向く顔。
言いながらも、オレの服を離そうとはしない。



「散々、外ではオレらのことビビリって言ってた癖に。南も怖がりなんさなー」

「う…。そりゃあ、こんな薄気味悪い場所にいれば…ビビりもするでしょ。私別に、幽霊とか平気なタイプじゃないし…」



そういや、そんなこと言ってたっけ。



「任務中のエクソシストとファインダーの皆は、こんな思いしてたんだ…実体験と紙の上の情報とじゃ、大違いだよ…」



辺りを伺うように見渡しながら、南が重々しく息を吐く。

"紙の上の情報"

その言葉に、一瞬思考が止まる。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp