第20章 骸
「やっぱり生ゴミ捨て場だったんさ」
「こんなに山積みにされてちゃ不気味だよね…」
恐る恐る瓦礫を観察する。
家畜の骨だとしても、こんなに大量にあれば臆したりもする。
本当にラビの言う通り、村人の生ゴミ捨て場にでもなってるのかな。
「骨格的に牛や豚じゃねぇんだよな」
「…そんなことまでわかるの」
「一通り、色んな知識をジジイに叩き込まれたからな」
ブックマンの教育って凄いスパルタだったんだろうなぁ…。
「南はわかんねぇの?」
「生物学は専門外です」
骨を幾つか物色するラビをそのままに、私はその他を見て回ることにした。
あんなに大量の骨見てる方が不気味だから。
にしてもどこか腐った臭いがしていたのは、やっぱりこれが原因だったんだ。
…でも骨はどれも結構昔のものに見えるけど…。
「骨以外のゴミは服とか鞄とか、日用品ばかりみたい」
生ゴミ捨て場というよりゴミ捨て場なのかな。
そんなことを考えながらゴミを脇に寄せていると。
「あれ?」
見知った白い大きなマントを見つけた。
すぐにピンとくる。
これ、トマさんが着てるマントと同じ。
ファインダーを示す服だ。
ということは、もしかして。
「ラビ、これ。ファインダーさんの…っ」
ラビに知らせようとマントを引っ張る。
もしかしたら、連絡が途絶えたファインダーのものかもしれない。
「ッ──!」
瞬間、きつい腐臭が鼻を突いた。
何かが腐ったような酷い臭い。
その腐臭の原因はなんなのか。
考える前に、答えはすぐ目の前にあった。
「ひっ…」
思わず喉奥から小さな悲鳴が漏れる。
ファインダーのマントの下。
其処に転がっていたのは、真っ赤な血に濡れた骨の塊だったから。