第20章 骸
鼻をつく異臭と目の前の赤黒い生々しい骸。
あばらのような骨には赤黒い肉片が僅かにこびり付いていて、ぱさぱさと乾ききっていた。
乾ききってはいるけれど、まるで濡れているように僅かな光に反射して光沢を放つ。
生々しい色。
「ぅっ…」
思わず嘔吐感が胸から競り上がる。
なんで気付かなかったんだろう。
上に被さっていたマントは、こんなにもその血で染まっていたのに。
「見るな」
思わず座り込んだまま骸から目を離せないでいると、後ろから伸びた手が私の視界を遮った。
「…これ…ファインダ、さんの…」
視界を遮られたまま、マントを両手でぎゅっと握る。
マントを確認したのか、チッと舌打ちのようなものが耳元で聞こえた。
「そういうことか…」
そういうことって?
どういうこと。
疑問をラビに問い掛ける前に、私の視界を遮ったまま答えを彼は口にした。
「此処にあるのは全部、人の骨だ」