• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る



「………」

「ガァ…?」

「………うん。やっぱり、気の所為かな」



目を凝らしていた、後方の深い闇から目を逸らす。
捻っていた首を戻した直後。










───ぐぷ、り










「っ」



背後で聴こえた、何かが溢れるような音。
思わず息を呑む南に、しかしティムキャンピーは何も感じていないのか特に反応は示さない。



「………」



じっと黙り込んで背後の様子を伺う。
振り返らずに、真っ黒な獣耳だけを背後に向けて。

しかし返ってくるのは、シンとした静寂だけ。



「……行こう、ティム」



"音"はもうない。
しかし背筋に少しだけ寒いものを感じながら、それを振り払うかのように南は足早に歩き出した。

早くこの不可解な居心地の悪さから脱したい。
その一心で。



(早く鎮静剤を作り直して、クロウリーを味方にして…ワクチンを、作らなきゃ)



ぐぷりと何かが溢れるような、零れ落ちるような、不可思議な音。
昔に何処かで聴いたことがあるように思えたのは、きっと気の所為だと言い聞かせた。






/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp