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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



「ぃ、つつ…」

「だ、大丈夫スか、室長っ」



容赦のない鉄拳に、頬を赤く腫らすコムイ。
そこへ不安げな声を投げ掛けたのは、リーバー本人だった。
どうやら謎の少女に体を操られてはいるものの、意識ははっきり保っているらしい。



「ひ、一つ…確認させてもらってもいいかな…君はリーバー班長の隠し子ぶッ!」

「いい加減現実を認識しろ巻き毛ぇええ!!!」



しかし不安げに上司を伺う様子は一瞬だけだった。
恐る恐る問いかける真面目な顔のコムイの問いに、鋭い突っ込みと共に先程より強烈な拳を顔面に叩き込んだのは、これまたリーバー本人。

異質な少女よりも容赦がない。



「ふざげるな…っわだじが人間に見えるか?」

「うおっ」



真面目な顔でふざけたことばかり宣うコムイに、苛立ちを隠さず少女が怒りを露わにする。
それが行動となって表れているのか、リーバーの体は本人の意思とは別に、自らの首筋にいつの間に用意していたのか、大振りのナイフを突き立てた。

リーバーは少女の手足となっていると同時に、人質として捕らわれている身となっているようだ。



「え…じゃあ………お化け?」

「遅いわ!どう見てもそうだろ!」

「ええー、それって偏見だよリーバーくん。人によって幽霊の捉え方なんて違うしさー」

「心霊事に密接に関係してる教団の最高責任者が、そんなんでどうするんスか!いつもいつもふざけるのは止めて下さいマジで!」

「別にふざけてなんかないんだけどなぁ」

「うるざい。勝手に話を進めるな。ぞれよりわだじの望みを聞け、室長」

「うん?そういえばお願いがどうとかって言ってたっけ…幽霊の望みを僕が叶えてあげられるとは思えないんだけど…」

「お前にじかできない。イエズかノーで答えろよ」



ぐぷりぐぷりと、少女の口から泡立つ水音のようなものが漏れる。
一体なんの音なのか。
コムイやリーバーが疑問を抱く前に、少女は彼らの予想もしなかった"願い"を口にした。



「ごの本部がら引っ越ずのを中止じろ」

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