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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



「なんでリーバーくんがこんなことを…っ元帥達はッ!?」

「彼らからは、逃げ切れました…が、体が…勝手に、動いて…」

「なんだって!?」



驚きコムイが問えば、ぷるぷると縄を持つ手を震わせて青い顔でリーバーは呟いた。
呟くというよりも、呻るように吐き出す。
それは必死に胸の内を絞り出しているかのようにも見えた。

明らかに様子が可笑しい。
それはリーバーをよく知っているコムイには一目瞭然のもの。



「体が勝手に僕を縛り上げる程、君は僕が憎いのか!非道極まりないねッ!」

「いや…そうじゃなくて…」



しかしどこまでも普段の姿勢を貫くコムイには、リーバーの異変など響かないらしい。
ぷんすか、なんて効果音を出しながら首を振る上司に、リーバーは青い額に手をついた。



「う"っ」

「リーバーくん?」

「うぐっ…し…室長…どうかシリアスに聞いてほしい…んですが…」

「な、なんでしょう?」



ふらふらとその場で足取り覚束無く立つリーバーの姿は、ゾンビのようで全く別物にも見える。
大体ゾンビ化してしまっていたら、縄で縛るなど面倒なことはせず襲い掛かってくるはずだ。

流石にゾンビウイルスとは違うリーバーの異変に、コムイも目を止めざる終えなかった。



「じ…自分の中に、何かいるんで…ぅ、ぐっ」

「ふんふ…ん?何か?…ってなんだい」

「うわぁああぁああ!!!」

「!?」



きょとんとコムイが問いかけた瞬間。
頭を抱えて蹲ったかと思えば、突如体を仰け反らせリーバーは叫んだ。

いつも奇行に走るのはコムイばかりで、リーバーはそこに苦言を申し立てるストッパー役だった。
その彼が、一体全体何故こんな奇行に走っているのか。
普段常識人を貫いて止めてくれていたのはリーバーの方。
その彼が可笑しな行動を示しているなら、止めるのは上司であるコムイしかいない。



「リ…リーバー…くん…?」



しかしコムイはと言えば、リーバーに負けず劣らず真っ青な顔を引っ下げたまま。



「…疲れてるの…?」



ドン引きしていた。

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