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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



『キャアアアア!ゴメンナサイ!』



倉庫の隅で壊れた頭を抱えて蹲り、ガタガタと震えているコムリンEX。
その存在を気にも止めず、クロウリーの姿はあっという間に闇へと消える。



「大変だ!クロウリーが逃げた!」

「み、皆起きて!大変なのはわかるけど…っクロウリーを捕まえなきゃ!」

「へ…?なんでさ…?」

「く…頭がぐらぐらする…」

「げほっ…一体、どうしたんですか…」



慌てたジョニーと南に急かされ、手負いのエクソシスト組は痛む顔を押さえながらなんとか立ち上がる。
クロウリーがゾンビウイルスに感染しているのはわかったが、何故わざわざ追わねばならないのか。



「これっ!今クロウリーが吐いたこれ見て!蓋!」

「「「フタ?」」」



これ!と頻りに主張するジョニーが三人の目の前に突き付けたものは、先程の瓶の蓋。
そこには"56"という数字が記載されていた。



「ごーろく…?」

「なんさそれ」

「暗号か」

「違うよ、これはコムイ室長が自分の発明品に付ける番号名なの!"56=コムイ"って意味!」

「つまりこれは、コムビタンDの原液が入ってた容器の蓋なんだ!」

「「「………」」」



必死の形相で説明する科学班二人に、アレン達は沈黙を作り顔を見合わせる。

コムビタンDの原液が入っていた蓋が、クロウリーの口から吐き出された。
そこに示された意味など一つしかない。
その容器の中に入っていたものは、クロウリーの体内に飲み込まれたということ。

となれば。



「クロウリーが感染源なんだよ!ゾンビウイルスの!」



扉の外を指差す南の叫びに、そこでエクソシスト組は全てを理解した。

つまりは感染源であるクロウリーの血を手に入れさえすれば、血清を作れる。
抗体を生み出し、ゾンビ化した団員達を元に戻すことができるのだ。

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