• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



確かにクロウリーだった。
昏睡状態から回復したのだろう。
しかし素直に喜べないことが一つ。



「く…!」

「危ね!」

「わっ!?」



両手に纏った鎖を、器用に操り飛ばしてくる。
その姿は、普段の弱気で心優しきクロウリーの姿ではない。
当たれば大怪我を負いそうな程、勢いよく飛ばされた鎖を間一髪でアレンや神田が左右に散りかわす。

ラビに飛び付かれ、勢いで背中から転んだ南の上を通り抜ける大きな鎖。



「やめて下さいクロウわっわ、わ…!?」



やはりクロウリーもゾンビウイルスに感染してしまっているのか。
背中から大きな黒い翼を生やした姿は、異様にも見える。
婦長達より感染濃度が濃いのか、言葉は発しているのに南達を完全に敵としか見ていない。
アレンのブーツを掴むと、常人には到底真似できない力で振り回し後方へと放り捨てた。



「わぁああああ!?!!」

「アレンっ!」

「チッ面妖な格好しやがってッ」

「勘弁、クロちゃん!」



そこへ第二陣として突っ込んだのは神田とラビ。
しかし幼児化した二人では、やはり気性の荒くなっているクロウリーは手に余るのか。



「だりゃあぁああ…あ?」

「ぐっ」



二人の小さな頭を、左右からクロウリーの手が鷲掴む。
と、ゴキン!と嫌な音がする程、容赦のない力で二人の頭部を叩き合わせた。
相手が本物の子供であったなら洒落にならない暴挙である。



「う…ぐ…」

「oh…」

「わー!神田!ラビ!?」

「あわわわ…!ま、待ってクロウリー…!」

「ガルルルル…!」



儚い紙切れのように、ひらひらと青い顔でその場に崩れ落ちる神田とラビ。
残されたのは科学班である南とジョニーだけ。
理性はないのだろう、一般人の二人にもクロウリーは牙を剥いた。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp