第81章 そして誰もいなくなった
「この声、マジでクロちゃんさ!?」
『そうだ…私である…開けてくれ』
「えっ」
「い、今、返事したっ?」
『アレン…ラビ…ドアを開けてくれ…』
「やっぱり!」
「応えてるならクロウリーに間違いないよねっ?」
会話が成立するとなれば、理性あるクロウリーということになる。
となると彼はゾンビウイルスに感染していないのか。
そもそもクロウリーはずっと医療病棟で昏睡状態に陥っていた身。
この場にいるということは、目を覚ましたことになる。
「よかった、クロウリー目が覚めたんだ…!」
「まだ喜ぶには早ぇぞ」
両手を握ってほっと笑顔を見せる南に、渋い顔をしているのは神田だけではなかった。
「あれ…大丈夫な方のクロちゃんさ…?」
「なんか声に覇気ないよね…」
「病室から出てきたってことは、病棟にいたんですよね?…婦長、ゾンビ化してたし…もしかして…」
疑り深く扉を見つめるは、ラビにジョニーにアレン。
『感染シテルカモシレナイ。扉開ケル、危ナイネ』
そしていつの間にか復活しているコムリンEX。
この場にいる全員だった。
『コレハ疑ッテカカッタ方ガイイヨ』
「でも、このまま放置する訳にはいかないですし…」
「誰かが扉開けねーとな」
「なら適役は一人だろ」
「「一人?」」
うんうんと頷き合うエクソシストの三人に、きょとんと南とジョニーが首を傾げれば。
「「「行ってこい」」」
ずりりっと三人が背を押し出したのは、機械の体を持つ彼(性別が男性かは不明)。
コムリンEXである。