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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



「ラビ、大丈夫っ?」

「ああ、うん。まぁ…」

「けほっ…南!ラビ…!」

「ジョニ…!無事だったの!」

「う、うんっでもアレンが…ッ」

「え?」

「アレン?」



ラビの体が無事なことにほっとしていると、同じく落下してきたらしいジョニーが真っ黒な煙の中から姿を現した。
松葉杖を付きながらなんとか支えるようにして背負っているのは、先程のミサイル被害で打ち所でも悪かったのか、発動していたイノセンスを消して気を失っているアレンだった。



「まさか怪我したの…!?」

「わからない。出血はないみたいだけど…」

「どうせ瓦礫で頭でも打ったんだろ。鈍い奴だ」

「神田!」

「ユウも無事だったんさな」



朦々と上がる煙の中から更にまた一つ、小柄な少年が姿を現す。
ラビと同じく科学班の薬で幼児化した神田だ。



「他の皆…リーバー班長達は…っ」

「この階の気配は俺達だけだ。恐らく他の連中は上に残ってんだろ」

「え…上にはゾンビ化した元帥達もいるのにっ助けに行かなきゃ…!」

「やめろ」



立ち込める煙で視界は遮られ、よくは見えない。
しかし探知能力の高い神田の言うことは恐らく当たっているはずだ。
となればリーバー達が危ない。
咄嗟に行動に起こそうとした南の腕を強く掴み、止めたのは神田だった。



「今から行っても間に合わない。それより此処から一刻も早く離れることが先決だ」

「でも…っ」

「リーバーは馬鹿じゃない。この爆破を利用してゾンビ野郎共を回避できる奴だ。今は自分のことを心配してろ」

「そーさっこっちは気絶してるアレンがいるってのに…お、重い…」



未だに怪我人であるジョニーに、アレンを運ばせるわけにはいかない。
しかし幼児化してしまったラビにもアレンを支えることは並大抵ではなく、押し潰されるようにして支えている姿が南の目に映った。

その状況を知れば、何を優先すべきかはわかる。

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