第3章 嵐の夜に(ユーリ夢)
「きゃっ…!!ユーリ…っ!!」
声を掛けても返事はなく
(あれ、ユーリもう行っちゃったんだっけ…??)
不安になり立ち上がると、カチッとライターの灯りがつき
「マチ様、こっち」
ユーリが燭台に火を付けていた
ホッとしてユーリの側に駆け寄ろうとすると、何かにつまづき前のめりになる
(転ぶ…!!)
と思ったが、その瞬間ユーリに抱きとめられ
ドクンと鼓動が跳ねた
「あ、ありがとう…」
離れようとすると、ぐっと力が入り強く抱き締められた
「……!!」
ドキドキと煩くなる鼓動が恥ずかしくて少し身じろぐ
その時クスッとユーリが笑った
「マチ様、ドキドキしてる」
かぁっと顔が赤くなる
「可愛い」
マチの首筋に顔を埋め、キスをした
「んっ…」
その時電気が復旧したのかパッと明かりがついた
それと同時にユーリが身体を離す
「マチ様は危なっかしいんだから、気をつけてよね」
何事もなかったかのようににっこり笑って、お茶を持ってくると部屋を出ていった
「ユーリ…………」
バタンとドアを閉めた向こう側で、
「…何やってんだ俺」
ポツリと呟き、ドキドキで震える手を握り締めキッチンへ歩き出した
end
(マチ様に俺のドキドキも伝わったのかな…)