第3章 嵐の夜に(ユーリ夢)
ザァアアアアーーーーーー
ウィスタリアの天気は大雨
観測史上一番になるかもしれないと言われるほどの嵐
「まったく…今日の会合は些か大事なものだったのですが」
ジルが眉を寄せる
今日は公務で隣国に行く予定だったマチは、生憎の嵐で足止めされていた
しかし、天気はこれからもっと荒れると予想されている為、仕方なしに不参加の連絡をしなくてはならなかった
「とりあえず今日はレオもいませんし、ハワード卿もご不在、乗馬の練習ももちろん出来ませんので休日とさせていただきます。ゆっくりなさってください」
ユーリ、と短く呼べばすぐ近くに控える
「私は文書の提出など忙しくなる為、何かあればユーリお願いしますね」
「わかりました。じゃ、マチ様行こうか」
「うん。じゃあジル、よろしく伝えてください」
微笑むジルに見送られ、ユーリと一緒に部屋に戻ってきた
まだ昼間だと言うのに部屋の中は薄暗く、電気を点ける
「わあー…本当にすごい雨だね」
そう言って窓を覗くと、黒い雲がウィスタリア全体を覆ってるような気がした
微かに雷の音も聞こえる
「今日どうする?何かしたいことあれば、俺手伝うけど」
「うーん…急な休日だったからなー」
ベットにポスっと座る
「じゃあ、とりあえず俺お茶持ってくるね」
そう言って踵を返した瞬間、
ドォーンッ
近くに雷が落ちた
その影響で城内が停電した