第31章 髪
次の日、特に何があるわけでもなくいつも通りの捜査本部
恐らく変わったのは私の前髪くらいだけど
そんな事は自分でも忘れてしまうくらい些細な事だった
普段通りの忙しさで時間は過ぎていく
竜「ちあき」
名前を呼ばれて私は呼んだ人物ではなく咄嗟に時計に目をやる
「あ……」
竜「集中し過ぎです」
やってしまった、集中しすぎると周りが見えなくなる自覚はある、時計は21時を指していた
「あれ?皆さんは?」
いくら集中していても誰かが帰ってくれば気が付くはずだ
竜「今日は皆さん夕方から出払っていたので、そのまま自宅に帰る事を勧めました」
「なるほど」
つまり、誰も夕方から出入りしていないわけだ
集中してしまうはずだ
「じゃあ私も今日はこの辺で…」
そう言い席を立とうとすると
額を そっと撫でられた