第37章 期待してもいいかな
竜崎の手は止まらずあっという間に箱に入っていたガトーショコラは残り2ピースを残し無くなった
近くで見ていたワタリが少し笑いながら
長い断食になりましたね
なんて言っている
「え?何…?だ、、断食?」
ワ「昨日お休みになる前にバレンタインはちあきさんに貰うまでは何も口にしないと…」
L「ワ・タ・リ、コーヒー」
もう全部聞いちゃったけど…
L「と、いう事で残りはまた後で大切に食べます」
そう言って箱を渡す竜崎にまた楽しそうに笑ったワタリは給湯室に向かった
「えっと、あの、ごめん」
L「いえ、ですが私には無いのかと思いました」
「うぅ…そ、そんなわけは…」
L「でも渡すつもりなかったでしょう」
全部バレている恥ずかしさやら情けなさやらで前が向けない
L「すみません、意地悪しました、美味しかったです」
「本当?」
L「もちろん、ですが、次は一番にください、もう断食はごめんです、というか次は出来立てをいただきます、ご馳走様です」
そう言って笑ったかと思ったらグッと距離を詰め誰にも気付かれないくらい軽くキスをされた
紅くなった頬を隠すように離れる瞬間にかすかに聞こえた言葉に私はコクコクと頷いた
"ホワイトデーは期待してください"
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