第3章 蓮の葉
「…まあ、いいや。僕土方さんにお使い頼まれてるんだ。じゃあね」
男が口を開けた瞬間に、殺気が消える。
滞っていた空気が流れるように緊張が解けた。
軽く微笑んだ彼はゆっくりと歩いて俺の横を通り過ぎる。
「…なんなんだよ…」
自分よりも明らかに大きい歩幅で去っていく男を見つめてポツリと呟く。
栗色の髪、鮮やかな翠の瞳に加えてあの造形だ。きっと、そうそう忘れないだろう。
そんなことを思いながら、自分もその場を後にする。
「…ったく…着いて早々で、疲れるなぁ」
独り言は風にさらわれてしまったようだった。