第3章 蓮の葉
「ねぇ、君。さっきから僕のこと見てるよね、何か、用?」
「っ…いや、なんでもないです」
少しの間、ぼうっとしてしまったらしい。
突然目の前に来たその男に驚いてしまった。
「ふぅん」
「っ……」
なんて…冷たい目。
口元は笑みをたたえているが、瞳の奥が冷めている。
空気を切るような、あからさまな殺気。
失せろ、と口で言うよりもわかりやすい合図だ。
「……」
殺気なら慣れてる。
さっきは彼の変容に虚をつかれたが、そういうことなら切り替えよう。そんなもので臆すようなたまじゃない。
「…へぇ、逃げないんだ」
「慣れてますから…それに、負けませんし」
微笑みながら答えると、男は面白そうに顔を歪めた。
…正直、余裕なんてない。
こいつ…隙がない。きっと強い…!