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Let's play our music!【うた☆プリ】

第14章 成長〜side??




「YOUは今思い浮かべた2人の曲を書いてちょーだいっっ!!」


相手が誰だろうと、仕事を引き受けることは変わらない。
けれど思い入れのある2人の作曲となると、どうしても口が弧を描いてしまう。

何だかんだ嬉しいのだろう、そう思った時だった。







《皆さん、お昼休み中にすみません!!》






スピーカーから聞こえた声。

それは紛れもなく、"あの子"のものだった。


「…これは何ですか?」

「やはぁり…この時間にやると思っていましたぁぁ!!」


私の疑問など聞こえていないのだろう、高らかに叫ぶ学園長はどうやら今起こっている事態を予測していたらしい。

2人の教師はぽかんとしているというのに、この人は底知れない。





《です、どうか…どうか私の歌を聴いてください!!》





きっと今頃食堂はざわめいているのだろう。
1生徒が放送室をジャックして自身の曲を流そうとしているのだから。

噂じゃ他にも誰かやったことがあるらしいが、それは放課後の話だった気がする。
人がまばらな夕方と、休みでない限り確実に人がいる昼では訳が違う。


そう、その差は。
否が応でも評価がつく。


それに尽きた。




《私は、かつてアイドルとして活動していました。でもその頃から夢は作曲家でした。アイドルを軽んじていると思われても仕方がない心持ちで過ごしていました》


《当時組んでいた作曲家と交わした約束は、2年間だけアイドルとして活動すること…でもその間に、私はアイドルという職について知ってしまった。それは私を迷わせ、その場に踏み止まる原因となりました》


淡々と、しかし何処か激情を含ませて彼女は語る。
この事実を告げることであの子が何を伝えたいのか、全てをわかることは出来ないが、欠片は理解できた。


きっと今まで自分を誤解され続けてきたのだろう。
彼女本人も自分自身を誤解していたかもしれない。
それに気付いて、その間違った自分と戦って、今ようやく納得のいく己と出会えたのだ。

その過程を、知って欲しかったのだろう。




自分という1人の人間を、曝け出すために。
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