Let's play our music!【うた☆プリ】
第26章 さぁ、奏でよう
「あー!!2人ともこんなところにいた!!」
「っ…音也?!」
背後から聞こえた大声に慌ててレンから離れた。
ぼそっと、イッキはタイミングが悪いねぇという不平が聞こえたけれど、音也には届いていないらしく室内にいるのであろうほかのメンバーに私たちを見つけたことを告げている。
やがて中からぞろぞろとやって来て、気付けば学生時代を共に過ごした仲間が皆そこにいた。
「へへっ、懐かしいねこのメンバーは」
「揃うのは買い物の時以来だな」
「でも肩書きはあの頃とは違いますよ」
トキヤの言う通り、今の私たちは学生ではなくアイドル。
華も友ちゃんも学園内のオーディションで見事所属を決めたらしいのでその例には漏れない。
「これからは仲間であり…ライバルってことだな!」
翔の言葉に皆一斉に頷く。
「支えあって、時には競い合って…そうやって皆で上に行くのね」
「そうだね、華。私たちなら、どこまでだって行ける!」
華と笑い合い、皆と顔を見合わせる。
その顔は皆そろって笑顔で、私も最高の笑顔を浮かべているはずだ。
「……っ、」
視線を感じてふと上を見上げると、テラスにQUARTET NIGHTと麗奈がいた。
私たちを見ながら、挑戦的な笑みを浮かべている。
“ここまで登ってきなさい。そうしたら、もっと良い景色を見ることが出来る”
そう言っているかのように。
任せて、麗奈。必ず私たちはそこへ行く。
あなた達の期待に、思いに応えてみせるし、いずれはあなた達さえ超えて飛んでみせる。
宣言を込めて、彼女に向けて拳を向けた。
その姿を見て、彼女は顔を綻ばせる。
それでこそあなたよ。そんな声が聞こえてきた気がした。
「ねぇ、歌おう!!」
「またですか、音也。相変わらず突然ですね」
「だって歌いたくなったんだよ!皆もそうでしょ?!」
「…まぁ、分からなくはありません」
音也の誘いを断るわけがない。
皆彼のかけ声に合わせて、その美しい音色を響かせる。
夜空に溶け込む7色の歌声。
皆の心が繋がる。
音楽で結ばれた私たちの挑戦は、まだ終わらない。
でもこの人たちとなら何も怖くない。
この想い人と、友と、仲間と。
奏でよう、私たちの音楽を。
fin.