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Let's play our music!【うた☆プリ】

第2章 前途多難な新学期


そして迎えた入学式。

クラス分けを見ると、私の名はSクラスの下に載っていた。
華に聞いてみると、彼女もSクラスだったらしい。
知り合いがいない空間じゃないこと、彼女と同じクラスだったことが嬉しくて、柄にもなく華と手を取り合って喜んだ。

「学園長、式辞」

しかし司会の人の言葉の後登壇する人はおらず。
あたふたする司会の人の空気に流され、会場内もざわつく。

「まさか、また…」

教師と思しき人がため息をついたその時、

「愛を知らぬ者は歌を語るぅーな、この場を去れぇい!」

高笑いと共に響く声。
その声の主を探して周囲を見渡す生徒の1人が叫んだ。

「あ、あそこだ!」
「誰かいるぞ!」

校舎の一角にある塔、そのテラスに人影が見える。
遠目からだからぼんやりとはしているが、ピエロのような何とも言えない格好をしていることだけは分かった。

困惑する生徒、教師を気にせず仮面をつけたその人物は語る。

「ハートの鼓動こそ、音楽の原子なりぃ…」

すると、その人はあろうことかそこから飛び降りた。

「きゃあっ!」
「おおっ!?」

地面に衝突する、誰もが悲鳴を上げながらそう予測した。

「とぉっ!!」

しかしその人物は糸で繋がっていたようで、衝突する前にバランスを取り直し、ぶら下がる。

「いぇーす、諸君!ミーが学園長のシャイニング早乙女でぇすぅー!」

あの人が、学園長。
"愛故に"で一世を風靡し、2000万枚のヒットを生み出したスーパーアイドル、シャイニング早乙女。
その圧倒的オーラから、私は目が離せなかった。

これが、アイドル。

誰もを魅了し、視線を引きつけ離さない。
心臓がばくばくして、冷や汗が流れた。

「この早乙女学園、いやシャイニングワールドへ…ウェェルカムッッ!」

ビシッとポーズを決めた後舞台へと飛び降り、奇妙な衣装を脱ぎ捨てた学園長はスーツ姿で再び話し始める。

「音楽それはラブ!いざ、魂を鎮座せよ、己が全霊を歌に込めよ!輝かせるのだ群衆を!」

リズムに合わせて踊り、スタンドマイクを華麗に操った彼は再び空へと舞い上がった。

「入学おめでとう!THANK YOU!」

そう言い残した彼は、生徒達の鳴り止まぬ拍手と歓声の中、どこかへと去っていった。

「「す、すごい…」」

思わず呟いた言葉が華と被り、顔を見合わせると、思わず笑ってしまった。
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