Let's play our music!【うた☆プリ】
第13章 求めたもの
思い返せばここに入学してから、誰かに相談したことなんてほとんど無かった。
いや、入学する以前からかもしれない。
翔に告げたことが1度あったが、あれだって言ってしまえば偶然だ。
つい彼の前で涙腺が崩壊して、受け止めてくれた彼にさらけ出してしまったものの、あれ以降翔にだって何も話してはいない。
弱みを見せたらダメになる。
そういう風に思っていたから。
麗奈がそういう風に生きていて、全て自分で解決しろと教えてくれたから。
「それとこれと何の関係があるの?」
「あいつは多分…お前が一言も相談しないことが辛いと思っている」
「……え?」
「神宮寺のことにしろ、歌のことにしろ。お前が誰も頼らないことが見ていて痛々しいのだろう」
思いもよらぬ言葉に目を丸くする。
聖川さんは少しだけ口角を上げると、ゆっくりと私の頭に手を伸ばした。
「辛かったら抱え込むな、誰かに吐き出してしまえばいい。そうやって分かち合うのが友達であり、仲間だ」
「…仲間…」
優しい手が頭を撫でる。
のしかかっているものを振り払うように、輪郭をなぞりながら。
「睦月麗奈が強いからといってお前までそうある必要はない」
「…でも…」
「!!」
突然呼ばれた自分の名前に、言いかけた言葉を飲み込む。
声がした扉の方を向くと、そこには皆がいた。
「……え…?」
いつの間に皆いたのだろう。
困惑を隠せない私から手を下ろした聖川さんは、彼らの方に向き直り、私の後ろから向こうを指差す。
「何で…」
「知らないとは言わせないぞ、ここにいるのはまだ数ヶ月ではあるが共に学んできたお前の友人。
そして、お前の仲間だ」