Let's play our music!【うた☆プリ】
第13章 求めたもの
「何があった?」
彼の真っ直ぐで澄み渡る瞳は、自然と私を冷静にさせる。
この人は嘘をつけない程に正直な、そして人の心を思いやれる人だ。
そう思わせてしまう何かがあるのだ。
だから、自分の悩みを告げられる。
子供のようにあっさりと感情が表に現れるのだ。
以前話した時も、泣いてしまったし。
「ピアノが、弾けなくて…」
掻い摘んで彼に話す。
華との喧嘩、自分への不安、そして恐怖。
聖川さんは何も発せず静かに耳を傾けてくれた。
その沈黙が心地よくて、ありがたくて。
「…なるほどな」
「華が怒るのも無理ないんだ…なんだかんだ言って神宮寺さんとやたら話していたのは確かだもの。…そんな私に良い歌が書けないことも、当然といえば当然」
同じクラスではないし、そんなに親しいわけでもないのに、私は翔にしか打ち明けていないものまで話していた。
すべてを聞き終えた彼は何か思案した後、おもむろに口を開く。
「…伊集院はお前に怒っているわけではないと思うぞ」
「…まさか、だって」
「どちらかといえば悲しんでいるはずだ」
「悲しむ?」
「参考なまでに聞くが、お前はこの話を他の誰かにしたか?」
「してない、けど…」
やはりか、そう漏らした聖川さんは私に向けていた視線を外し、何気なく天井を見上げる。