Let's play our music!【うた☆プリ】
第13章 求めたもの
華の目は真剣だった。
対する私の目は驚愕で見開かれていた。
神宮寺レンを、どう思っているのか。
私は即答しなければならない質問だった。
華の想いを知っているから、これ以上進んではいけないと互いに決めたから。
でも、心は揺れる。
あの人の名前が出ただけで、こんなにも。
「…良い、仲間だよ」
絞り出した答えと共に浮かべた笑みは笑みになっていただろうか。
私は自分で思っていたほど、表情を隠せる人間ではなかったみたいだ。
「嘘つかないで!」
案の定、華にはバレていた。
そしてこの答えが、彼女の堰き止めていた何かを溢れさせてしまった。
「華、」
「私が彼を好きなこと知っててレンくんを好きになることは別にいいの。想いって制御できるものじゃないから」
「……」
「でもね、それを中途半端にしてほしくないの。私のことを変に気にして諦めようとしているなら私はそれを許せない」
中途半端、その言葉がぐさりと刺さる。
私は、アイドルと作曲家でもどっちつかずで中途半端なことをしでかした上に、ここでも中途半端な行動をしていた。
それを、知った。
自分のこととなると、周りが見えなくなる。
神宮寺さんの言った通りだ。
私は自分のことばかりで、それを見ている華のことなんて欠片も考えてなかった。
微妙な私と彼の距離を1番近くで見ていた華は、どんな気持ちだったのだろうか。
「ごめん…ごめんね、華」
「…謝って欲しいんじゃないよ…」
ごめんね、華。
でも私はあなたに謝ることしか出来ない。
「でも私は…あの人のことを仲間と思うって決めたんだ」
だってそれが正しいことでしょう?
恋愛禁止令があって、私より彼に相応しい人がいて。
どうして曰く付きの私と彼が共にいれるだろうか。
たとえ心が彼を求めて叫んでいても、今にも目から熱いものが流れ出しそうになっても。
私はあの人といてはいけない。
「…っ、!」
「これだけは変わらないよ」
「どうして自分をそんなに偽るの?!そんなんじゃ…皆辛いだけだよ…!!」
「……話がそれだけなら、戻るね」
「!!」
華の制止を無視して部屋を出る。
後ろから追いかけてきた華の声は悲痛だった。
「自分をさらけ出せない作曲家が…思いを曲で表現できる訳ないじゃない…!!」