Let's play our music!【うた☆プリ】
第13章 求めたもの
クラスからの連絡が来ない。
文房具が消える。
そんな小学生のような嫌がらせがぽつぽつと現れ始めたのだった。
「、気にすることないよ」
「うん…華、ありがとう」
連絡は翔や華が教えてくれるし、文房具はすぐに買い足していたから特に気にはしなかった。
しかし、どうしても気にしてしまうものがあった。
陰口である。
私に届くように言うから更にタチが悪い。
作曲家からすれば、作曲を軽んじて人に制作を頼んだ愚か者。
アイドルからすれば、評価を得ていたのにそれを全て捨てた裏切り者。
双方のプライドを傷つけてしまった私が、それ相応の結果も出せずにのうのうと学園生活を過ごしている。
彼らはどれほど苛ついたのだろう。
そう思うと、自分の行動は芸能人として最低なように見えた。
彼らが求めた、麗奈のパートナーとして相応しい成績。
気持ちはわかるのだ、あれだけすごい人のそばにいたのなら作る曲もそれ相応に素晴らしいはずだと思うのは。
ましてや入学当初、春歌が作曲が分からずに、ピアノが弾けずに苦しんでいた頃、私の成績はほぼ頂点に近かった。
なのにそんな春歌に抜かれ、他の人々に抜かれ、二桁の順位をうろうろしているなんて、ありえないと思うのは。
「はぁ…」
「元気ないね、レディ」
「神宮寺さん…まぁ、ちょっとね」
クラスで私と話してくれるのはごく少数だ。
華と翔、そして神宮寺さん、一ノ瀬さん。
しかし一ノ瀬さんの方もどうやらスランプらしく、最近はあまり話せていない。
日向先生が指摘する問題点を、改善できていないらしい。
「レディ…大丈夫かい?」
「大丈夫、ありがとう。…これは、私の問題だから」
こればっかりは誰にも頼れない。
私が戦わなければいけないのは、睦月麗奈のパートナーという昔の私の肩書きだから。
「無理はしないで、何かあったら言って」
「神宮寺さん、心配しすぎだよ」
「君は自分のこととなるとそればっかりに構いきりで、他のことに気付かないからね、心配にもなるさ」
そんなまさか、とその時は笑い飛ばした。
しかし神宮寺さんの言った欠点は正しかったことを、私は後に思い知ることになる。
私は、近くで私を見つめる鋭くも寂しそうな瞳に、気付くことが出来なかったのだ。