Let's play our music!【うた☆プリ】
第13章 求めたもの
初めて春歌に抜かれたあの日から更に私と春歌の成績は開いていった。
彼女は今までの成績不振が嘘だったように成績を伸ばして、その頭角を現していった。
そして遂に彼女は。
「すごいよ春歌!学年ぶっちぎりでトップだなんて!」
「そ、そんなことないよ」
「いや、トップなら十分すごいって。自信持ちなよ」
友ちゃんや華に口々に褒められ、春歌は恥ずかしそうに俯きつつも嬉しそうにはにかんでいる。
当然だ、努力が実り、認められたのだから。
「おめでとう、春歌」
「ちゃん…ありがとう」
友である春歌が皆に認められたのは嬉しい。
でも、同じ作曲家として悔しさが勝ってしまいそうになる。
そんな醜い感情を彼女に知られたくなくて、作り笑顔でお祝いを言うと、何も知らない彼女は笑顔を向けてくれる。
その笑顔が、殊更私を苦しくした。
「…お前、この成績どう思ってる?」
「満足してますよ。これが…私の実力だったんです」
対する私は15位付近を彷徨っていた。
翔とのペアで5位までいけたのはおそらく、私の曲というより翔が高く評価されたんだと思う。
それは彼を最大限引き出すという目標を掲げて曲を作った私にとって嬉しいものだった。
彼が評価された、それはすなわち私の曲が彼を引き立たせたということなのだから。
だからその後、前までペアで総合順位を出していたのに対し、作曲家は作曲家で、アイドルはアイドルで順位付けされるようになったことで私の成績が落ちても、特に気にしなかった。
それでも上位の方だったし、ようやく麗奈とは違う私の曲を作れるようになってきたから。
しかし、他の生徒たちは納得しなかったのだ。
「今までのは睦月麗奈に作ってもらってたんじゃない?」
「いきなり成績落ちるとか怪しいしな」
「やっぱりコネで入学してるんじゃ…」
決して悪い成績を取っていたわけじゃない。
もし私が何のしがらみもない作曲家志望の生徒だったなら、こんな風に思われることもなかっただろう。
しかし、"睦月麗奈の元パートナー"という肩書きに求められる成績はとても高かった。
求められていたのは、頂点。
そしてそれに満たなかった私は、彼らから認められなかった。