Let's play our music!【うた☆プリ】
第11章 パーティーにて
そして会話が冒頭に繋がるというわけだ。
「もう、この間遅刻を免れたのは誰のおかげだと思ってるの?!」
「うっ…それは今関係なくない?」
「いいえ、あの時私は貸し1と言ったわ。それを返してもらう時が来たのよ!」
「なっ……」
だが不毛な会話についに終止符が打たれる。
華に突かれた痛いところに反論できないでいると、そこをさらに畳み掛けられ私はついに白旗を揚げた。
確かに私はあの時華に起こしてもらえなければえらいことになっていたのだから。
むしろその借りをこんな形でさっさと返せるなら良いじゃないか。
「わかった、やるよ」
「ほんと?!ありがとう!」
「でもさ…この衣装どうにかならなかったの?」
華に持たされた衣装は何と言っても露出が多い。
スカートは短いしヘソ出しスタイルだしで恥ずかしいことこの上ない。
予め言っておくと、私のアイドル時代の衣装のスカートは膝丈でこんなに短くなかった。
「も一緒に選んだデザインでしょ?文句言わずに、ほら着替えて!」
確かに選んだ1人だが、それは華が着ると思っていたからだ。
彼女の白くて長い手足を、この服の色やデザインは引き立たせたし事実これを着た彼女はすごく可愛かった。
自分が着ることになると分かっていたなら絶対にこんなもの選ばない。
反論したところでどうにもならないなら言わなかったが。
「やるしかないか…」
合同レッスンは、アイドル志望だけでなく作曲家志望も動こうということで全員参加のダンス授業だった。
2人組で踊るものであったが、特に男女である必要もなく思い思いに皆ペアを組んでいた。
華は別の子…つまり今日踊る予定だった子とペアを組んだので1人ポツンとしていた私は、何となく近くにいた聖川さんと組んだのを覚えている。
振りはほとんど同じで、2人がバラバラな動きをすることがあまりなかったのでいかに揃うかがポイントだったはずだ。
今日初めて華と踊るのに果たしてやれるだろうか。
「踊るのなんて、初めてなんだけどな」
アイドル時代だってこんなに激しいダンスはしていない。
マイクを持っていたため簡単な動き程度しかしていないのだ。
それでも華の足を引っ張らないように精一杯ついていこう。
やるからにはきちんとやることを決意し、衣装に袖を通した。