Let's play our music!【うた☆プリ】
第8章 眠る君に〜side神宮寺レン
そんなを直視できなくて、強引に話題を変えた。
俯きながらの言葉だったから随分と小声になってしまう。
彼女からしたら俺が突然言葉をこぼしたように映ったことだろう。
"……子羊ちゃんがね"
と同時に、彼女もまた俺を変えてくれた。
あるはずのない続きの歌詞が書かれた紙を必死に探した子羊ちゃんは抱きしめたくなるほどに健気で、泣きたくなるくらい優しくて。
そんな彼女に協力して共に校内を探し回った渋谷、おチビちゃんを始めとする彼女の仲間たち。
皆の思いが俺に突き刺さって、彼らを裏切りたくないと強く思ったのも演奏しようと思った理由だ。
"…そっか、仲間がいて、あなたは変われたんだね"
そんな俺の言葉を聞いた彼女は、なぜか沈んだように、そしてどこか投げやりに言葉を返してくる。
理由が始めは分からなかったが、仲間という単語でふと閃いた。
彼女はその中に自分が含まれていないと思っているのではと。
それは違うよ、レディ。
むしろ君は、それ以上に大きな存在になってきているんだ。
伝えたかった言葉は、華たちの帰宅によって遮られる。
咄嗟にごとクローゼットの中に隠れたのだが、思えば彼女ごと入らなくても良かったのだ。
彼女にあの場の収拾をつけてもらえば、どうにでも切り抜けたはず。
それなのに彼女と隠れてしまったのは、離れたくないと思った俺の我儘かもしれない。
そして、意識して欲しいという願望だったのかもしれない。
俺の胸に顔を押し付けて必死に息をこらえる彼女は本当に可愛らしくて、何なら声を出したくなるようなイタズラを仕掛けてしまおうかと思った。
でもそんなことで嫌われるのは嫌だし、彼女の思いを何より尊重したい。
だからそんなことはしないけど、
でも俺は俺で少しはアプローチしても良いよね、レディ?
ほんの少し余分にを抱きしめて、距離を縮めた。
腕から、胸から伝わってくる彼女の体温を、静かに感じて。