Let's play our music!【うた☆プリ】
第8章 眠る君に〜side神宮寺レン
「…俺は、君をもっと知りたい」
意識を現在に戻す。
薄々、が睦月麗奈を意識しすぎているとは思っていた。
本人は気付いていないかもしれない。
しかし入学当初は纏う雰囲気から指の動かし方までどこか似ていた。
意識的にせよ無意識にせよ、彼女の心の奥底に睦月がいたのは間違いないだろう。
最近は彼女の素のような挙動が見え隠れしているけれど、作曲だけは真似が抜けていなかった。
だから君の本当の姿が見たい、曲が聞きたい。
そんな思いが最近湧き出ていた。
「ねぇ、レディ…俺に君を全て教えてくれないかい?」
返事はもちろんない。
それでも願わずにはいられなかった。
まだまだ君を知りたい。
そしたら俺のこの思いにも決着が着くから。
恋へと繋がるか、友情へと繋がるか。
「…ん、」
少し息を漏らす。
寝返りを打ってこちら側に体を向けた彼女のあどけない寝顔がよく見える。
「まるで子供のようだね……いや、子供は俺か」
今日、本当に驚いたのだ。
突然がおチビちゃんのことを呼び捨てで呼び始めたから。
俺は頼んでもあしらわれるのに。
まぁ自分が悪いのだが。
それでも先を越されたのは何となく癪だった。
そうしてらしくなく嫉妬まがいの感情を抱いた俺が、子供でなくでなんだろう。
にはペースを乱されっぱなしだ。
「本当に、罪なレディだよ…」
美しい眠り姫にはプリンスの口付けを。
ほんのりと桜色に染まる柔らかな頬に、そっと口づけた。