• テキストサイズ

Let's play our music!【うた☆プリ】

第7章 本当の自分



「ここがHAYATOのライブ会場…」

ある遊園地のステージ。
そこが彼の新曲のお披露目ステージだった。

大勢の女性客の中、ちらほら見かける男性や子供。
彼らと同じようにやや縮こまりながら座る翔とは裏腹に、四ノ宮さんは興味津々に周囲を見渡していた。

「わぁ〜、ピヨちゃんグッズを付けている人が一杯!お友達になれそうですね」

彼の御目当てはHAYATOではない。
その後このステージで行われるピヨちゃんイベントだ。

もともとそれが目当てでここに来るつもりだったらしい彼らは、春歌の行き先が同じことを知ると一緒に行こうと申し出た。

迷子になっていた春歌がそれを断るはずもなく。

私の隣で今か今かと彼を待っている彼女の瞳は輝いている。

そんなに好きなんだ、HAYATOのこと。

そこまでアイドルに惚れ込んだことのない私にはわからない感情。

追いかけて、応援して、ライブを盛り上げる。

1人の人にそこまで入り込む、その熱意と愛。

それを生み出すアイドルの凄さというものを、アイドルから離れて初めて知った。

「きゃああぁああ!!」

微かに曲が流れただけで黄色い声が上がる。

声こそあげないものの春歌の頬も先ほどの比じゃないくらいに上気していて。

「みんなー!!おはやっほー!」

元気よく、きらきらした衣装と笑顔で現れたHAYATOに誰もが歓声を送った。

それを糧としたように、彼のダンスや歌のキレは神がかってさえいた。

「凄いですね〜」
「あぁ…これがプロ…!」

HAYATOに興味がなかったはずの四ノ宮さんや翔でさえ魅了してしまう力。
既に彼の虜となっている人間はもうこんなの腰が抜けているだろう、そんな予想で隣を見た。

しかし結果は私を驚かせる。

「春歌?」
「…何か、違うんです」

春歌は笑ってすらいなかった。
心配そうに、ひたすらステージの彼を見つめていた。

「HAYATO様の曲が…違う…」

その時だった。

「っ、!」

HAYATOがステップを間違えた。

普通なら間違えていないように立て直すだろう。
振り付けなんて見ている人は知らないのだがらリカバリーの方法なんていくらでもあるのだ。

しかし、彼は…。

「足、痛めてる…?」

一瞬、左足に体重をかけたときに表情が歪んだ。
それでバランスが崩れてマイクを落とし、膝をついたのだろう。
/ 200ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp