Let's play our music!【うた☆プリ】
第1章 それがすべての始まり
それからの日々はある意味シンデレラだった。
レイジングエンターテイメント社の寮に引越し、社長に挨拶して、その後は麗奈と音楽に没頭していた。
彼女の書き上げる曲を1曲1曲丁寧に話し合い、歌詞を書き、歌い込む。
音楽に対して真剣なのは2人共同じで、譲れないものもあったから、衝突することもあった。
その度に話し合って、練り直して、納得のいくまでやり直した。
そうして作り上げた曲を麗奈の仕事先の相手に聞いてもらうと、気に入られてCD化決定。
準所属3ヶ月目でデビューを決めたのはレイジングエンターテイメントでも早い方らしい。
事務所の先輩方にやたらと褒められた。
そんなこんなで、私は華々しいかどうかは分からないがデビューをした。
CDショップに自分の声が録音されたものが並んでいるのを見るのは不思議な気分で、恥ずかしくてCDを隠して帰るのが日常化していた。
「慣れなさいよ、今にあなたの声が四六時中至る所で聞こえるようになるから」
麗奈はそう言っていたが、正直御免だ、落ち着かない。
こんな状況2年たったら綺麗さっぱりやめてやる。
そう自分に言い聞かせながら、最初の1年を乗り切った。