Let's play our music!【うた☆プリ】
第6章 それは春のように
「放送室をジャックしたって聞いたけど」
「そうだよ…楽しかった、あんな気持ちは久しぶりだった」
聞いて欲しかった人には休まれたけどね。
悪戯っぽくウインクされて思わずごめんと肩をすくめる。
「……子羊ちゃんがね」
少し和んだ空気が流れた。
初めての課題で、彼と組んで話し合った時と同じような心地よさに私は身を委ねる。
その空気に彼も流されたのだろう、ぽつりと言葉を発した。
「俺が破いて捨てた歌詞を書いた紙を1枚1枚拾ってくれたんだ…おチビちゃんとか、他の皆も、必死に探してくれた…」
「春歌が…」
「俺が退学しないように、心配して…参ったよ」
ふっと笑いをこぼした神宮寺さんの口は、弧を描いている。
「子羊ちゃん達の為にもやめられない…そう思ったんだ」
"レンのこと、信じてやろうぜ!仲間なんだから"
翔、良かったね。
皆の心が、神宮寺さんにちゃんと届いたんだよ。
仲間を想う気持ちが、彼を変えた。
彼の口から話された思いは、温かくて優しくなれる。
同時に、私を締め付けた。
春歌が、神宮寺さんを助けた。
春歌のために、神宮寺さんは歌った。
仲間がいたから、彼は変わることが出来た。
でもその場に、私はいなかった。
彼の言う"仲間"に、私は入れているのだろうか。
今日という日に体調を崩したことを、ひどく後悔する。
「…そっか、仲間がいて、あなたは変われたんだね」
その悔しさの中、発した言葉はどうにも刺々しくなってしまった。
それに気付いてかどうかは分からないけれど、神宮寺さんが私に声をかける。
振り向いたその時だった。
「あー、いいお湯だったね!」
「はい!ちゃんも来れたら良かったんですけど…」
「治ったらまた行けばいいだけでしょ!いつでも行けるんだから」
部屋の外から聞こえる3人の声。
確か華たちは今日スーパー銭湯に行くと言っていた。
そこから帰ってきたのだろう。
「やばっ…!!」
ここにいる神宮寺さんを見られてはまずい。
3人のことだから騒いで教師陣を呼ぶことはないだろうが、神宮寺さんと2人きりの現状を華に見られることは良いことではない。
どうしよう、どこかに隠れるべきなのだろうか?
それとも隠し事せずに正直に言うべきなのだろうか?
そうして迷っている私の腕が、勢いよく引っ張られた。