Let's play our music!【うた☆プリ】
第5章 信じてる
そんな言葉に耐性がない春歌は顔を真っ赤にして慌てる。
春歌を気に入っている神宮寺さんの様子に華は顔を真っ赤にして膨れる。
ああ、どうしたら良いのだろうこの状況。
と、頭を抱えたくなったとき、聖川さんが助け舟を出した。
「からかっているだけだ。こいつの言うことを信じてはいけない」
「酷い言われようだな、外れちゃいないけど」
"外れちゃいないけど"
その言葉がやけに脳内で繰り返される。
やっぱり今までの言葉は嘘だったんだと再確認しただけなのに、何がこんなにショックなんだろう。
「特別なんかじゃ、ないだけなのに…」
助けてくれたから勘違いしていたんだろうか。
結局私は"レディ"の中の1人で、春歌みたいな"子羊ちゃん"でもなければ、"華"のように名で呼ばれる存在でもない。
そのことが、重くのしかかって。
やけに心は沈んでいた。
「レーン!!」
校舎から駆けてくる翔くんの声で我に帰る。
彼は神宮寺さんに忠告に来たらしい。
そういえば神宮寺さんはレコーディングテストで私と組んで以降の個人単位の課題は全て未提出だったことを思い出す。
日向先生が頭を抱えていたはずだ。
その後その日向先生本人も出てきて、神宮寺さんに忠告する。
しかし彼は全く気にしていないようで、手をひらひらと振りながら女生徒の元に戻ってしまった。
明日の放課後までに評価を得られなければ退学。
そう言われても。
「華…神宮寺さんって、アイドルになりたいんじゃないの?」
「……」
私の問いかけに黙っている華の顔は悲しげで。
神宮寺さんの去った先を見つめる春歌の顔もまた、心配そうだった。