Let's play our music!【うた☆プリ】
第5章 信じてる
「いかがでしたか?僕達のダンスは」
「テスト、来週なんだ…合格できるかな」
踊り終えた彼らはすぐ春歌に感想を求める。
春歌も3人のダンスに興奮していて、冷めやらぬといった様子で答えた。
「素敵です!なんか、こっちまで体が弾んでくるようで…試験、きっと大丈夫です!」
私も、キレのあるダンスだったと思う。
3人の息も合ってたし、春歌の言う通りノリが良かった。
華もすごいすごいと頬を上気させている。
褒められた一十木さんと四ノ宮さんはやったねと顔を見合わせる。
しかし1人聖川さんは、まだまだだと冷静に分析をしていて、それを聞いた2人は肩を落とした。
「あはは…頑張って」
常に高みを目指す彼も満足するダンスは踊れるようになるだろうか。
苦笑していると、女子達の黄色い声が聞こえた。
「うわぁ、ほんと?レン」
「流石だわ、レン!」
見ると案の定。
「またあの人は…っ!」
「まあまあ…」
華をやきもきさせている罪作りな男が女生徒になにやら話していた。
「あんまり美しい薔薇だったから、薔薇園ごと買い取ったのさ」
どうやらスケールが庶民と違いすぎてついていけない内容のようだ。
美しかったから買い取る、そんな発想のない私たちは目をぱちくりさせる。
「誰かに、プレゼントしようと思ってね」
その言葉に色めき立つ女生徒たち。
中には私にと立候補する人までいて、彼の人気が伺えた。
「薔薇園もらってどうするんだろ」
手入れ行き届く自信ないな、私は。
ぽつりと呟いた言葉が耳に入ったのか、聖川さんがそういう問題ではないと思うぞ、と呆れたように言った。
そんなことは聞こえていない神宮寺さんは、手に持つ薔薇の香りをかぐと女生徒たちに告げる。
「君が俺を、夢中にさせてくれるならね」
「きゃああっ」
「カッコいい〜、レン!」
「むぅ…」
「ファンサービスだから、ね?華」
「本当にそう思ってる?」
「……」
ヤキモチに膨れる華を宥めようとしたが、見え透いた嘘で逆に不機嫌にさせてしまった。
なんとか彼女の機嫌を取ろうと四苦八苦していると、気が付いたら神宮寺さんが輪に加わっていた。
「彼女と俺は、出会った時から運命で結ばれていたんだがな」
そんな言葉を春歌に囁いて。