Let's play our music!【うた☆プリ】
第5章 信じてる
「はぁぁぁ…」
「珍しい、どうしたのそんなため息ついて」
食堂の机に突っ伏す私を春歌や友ちゃん、華が心配そうに見ている。
応援代わりだろうか、分けてもらった友ちゃんの昼食のパスタを咀嚼しながらも私の顔は晴れなかった。
「どしたの?」
「…今度の課題かなぁ、が困るもんでもない気がするんだけど?」
「いや…はは…」
華の言葉に返す気力がない。
魂さえ抜けそうな様子に春歌はさっきから慌てっぱなしだった。
彼女はその後、恐怖を体が覚えてしまってピアノが弾けなくなったらしいが、なんとか克服したらしい。
それには聖川さんが1枚噛んでいるらしく、そのことを話す春歌は彼をやたらと絶賛していた。
聖川さんの得意楽器もピアノと聞く。
同じ楽器を弾く者同士、何か通じるものがあるのだろう。
最近春歌の周りにいる男子生徒は特定されてきた。
一十木さん、聖川さん、四ノ宮さん。
今度のダンステストもその3人で1チームらしい。
皆さんとってもお上手なんです、と目を輝かせて話す春歌はもう彼らのファンのようだ。
「練習見たの?」
「はい!とっても素敵で…そうだ、ちゃんも見に行きませんか?!」
「……へ?」
突然の誘いに驚く。
正直そんな気分ではないのだが、華がやたらと乗り気だし、春歌なりに私を励まそうとしているのが分かるしで断れる状況じゃなかった。
「一十木くん!聖川さん!四ノ宮さん!」
「あ、七海!見に来てくれたの?」
春歌に連れられて行ったのは中庭。
そこでは華麗にステップを踏む3人の姿があった。
「毎日お疲れ様、これ差し入れ」
「わぁ、ありがとうございます!」
「すまない、ちょうど腹が減っていたところだ」
「じゃあ休憩にしましょう」
私が差し出した差し入れの中身は購買のパンで、受け取った四ノ宮さんは顔を輝かせる。
春歌の声で皆中庭に座ると、のんびりとした時間が流れた。
パンを頬張る3人を横目に、他愛ない話をする。
食べて満腹になった彼らは、差し入れのお礼に踊ると言ってくれた。
「待ってました!」
と手を叩くのは華。
私も少しワクワクしながら見物させてもらうことにした。