Let's play our music!【うた☆プリ】
第26章 さぁ、奏でよう
ST☆RISHはシャイニング事務所のアイドルとなった。
私も先日のライブの前座で無事に社長に認められた。
お互いアイドルとしての入口にやっと立ったのだ。
「君の歌、素敵だったよ」
「ありがとう、受け入れてもらえて良かった…」
「1曲目ももちろん良かったけど、2曲目の君の作曲も凄かった。学園時代とはやっぱり曲が変わったね」
私自身が作曲して、作詞もした2曲目。
歌い終わったあとは、やりきった達成感はあったものの、見て下さった皆の反応がやはり気になった。
しかし、最初脳裏を横切った不安を一気にかき消すほどの拍手と歓声が私の耳の飛び込んできて、最初は何が起きているのかわからなくて。
呆然としてたところを月宮さんに話しかけてもらってなんとか正気を取り戻したのだ。
「本当に嬉しかった。中にはスタンディングしてくれた人もいて…」
「本当に素晴らしかったよ、これは今後の活躍も期待できるね」
あんまり褒められるとこそばゆい。
舞台裏にひっこんだら麗奈にたっぷりとダメ出しは貰ったから、やるべきことはたくさんある。
でもあの反響のおかげか、社長に作曲の仕事もオファーが来たらやっても良いと許可を戴けた。
以前の時より活動の幅が広がりそうで、今からとても楽しみだったり。
「…でも、やっぱりプロは違ったね」
レンの瞳が鋭く細められる。
QUARTET NIGHTの皆さんのことを言っているのだということはすぐ分かった。
そう、あの人たちは、既にQUARTET NIGHTとしてこの芸能界の居場所を作り上げてしまったのだ。
私の出番のあと、軽くグループの紹介が入るも、お客さんのなかにはまだ私の歌が抜けきれてない人は結構いた。
これは前座としてダメだったのではと焦った私に対して、彼らはこともなげに言い切ったのだ。
「君は充分前座の役割を果たしてくれたよ」
「ここからこの雰囲気を自分たち一色に染め上げて、早々に芸能界に名が知れ渡るようにしてくれたんだから」
高慢に聞こえるかもしれない。何を偉そうにと思うかもしれない。
しかし彼らはそれを実行して見せた。
圧倒的なパフォーマンス。
完成された歌声。
「負けてられないね」
レンの言葉に、しっかり頷く。
今はまだ遥か高みにいる彼らの横を走る人間になりたい。
あの時、そう強く感じたから。