Let's play our music!【うた☆プリ】
第26章 さぁ、奏でよう
その時、視界の端に映ったオレンジ色。
「まったく、俺というものがいながら他の男と話すなんていけないレディだね」
「レン…」
「聖川も聖川だ。俺のレディにちょっかいかけないで欲しいね」
やって来たのはもちろんレンで、どうやらずっと私を探していたらしい。私に向かって仕方ないねとウインクを飛ばしてきた。
そしてやや不満げなその言動の矛先は真斗に向く。
けれど真斗はどこかしてやったりというような笑みを浮かべて。
「お前への嫌がらせをしたつもりだ、効いたか?」
「なっ…」
彼の珍しい返しにレンも面食らう。
そんな彼の反応な満足したらしい真斗は、念を押すように唇に人差し指を当てて私に視線を送ると、そのまま向こうで大騒ぎをしている音也たちの方へ行った。
「レディ、聖川に何を聞いたんだい?」
あんな表情されては気にならないわけにはいかない。
レンは私にこっそりと耳打ちをしてくるものの、私はそこからするりと抜け出して、彼のように人差し指を唇に当てた。
「内緒っ!真斗との約束だもの」
「2人で俺の悪口ってわけかい?悲しいね」
「違うよ。とっても素敵な話…私にとってはね!」
やがて追求を諦めたレンは、私を手招いて外に出る。
パーティーを抜け出してもいいのかと思いはしたものの、握ってきてくれた彼の手を振り払うことは出来なくて、私はついていくだけだった。
レンに連れられてやってきたのは庭。
手入れの行き届いた庭は、今は夜の闇に包まれている。
ぼんやりと灯りに照らされた花々は幻想的で、思わず息を飲んだ。
「綺麗…」
「気に入ってくれたかい?さっき窓の外から見つけたんだよ」
「こんなところがあったんだね」
「あぁ、なかなか良いところだ」
レンと2人、手を繋いで庭を歩く。
こんなこと入学した頃は想像もしていなかった。
「夢が、叶ったんだよね、私たち」
レンに告げるつもりでもなく零した言葉を彼は聞いていたらしい。
そうだねと同意を告げると、私の手を握る力が強くなった。