Let's play our music!【うた☆プリ】
第26章 さぁ、奏でよう
「ところで、覚えているかい?早乙女学園の掟。破ったら即退学の禁断中の禁断」
「もちろん、ずっとそう自分を戒めてたんだもん」
恋愛絶対禁止令。
芸能界に生きる者として、避けねばならないスキャンダル。
決して許されない、身を破滅させかねない爆弾。
「でも、私たちはそれを破ってる」
「あぁ。それを後悔はしていないし、君を離すことはこれからも出来ない…ただ、」
続かないレンの言葉だけど、予想はできた。
今までは早乙女学園の生徒の1人として扱われてきた。
でもこれからは、シャイニング事務所の“商品”となる。
傷がつかないように、細心の注意を払わなければならない身となるのだ。
「事務所に入ったら、会う機会は格段に減るだろうね。お互い仕事があって…写真を撮られることもマズイから、2人で会うことなんて尚更無理だと思う」
「…」
「俺はこれから、シャイニング事務所の神宮寺レンとして、ファンの皆にたくさんの愛を囁くだろう。もし芝居をやることになったら、君以外の特定の女性を愛さないといけないかもしれない」
「…うん」
「それでも、いつだって君のことを考えてる。それだけは信じて欲しい。俺の心はいつだって君のものだから」
そっと私から手を離し、代わりに力強く抱きしめてくれる彼の背に腕を回す。
彼の言葉1つ1つを聞き漏らすまいと耳をすませながら、彼の温もりに包まれた。
「分かってる。レンは、これからファンのものになるってこと。私のところにいてくれる時間はとても少ないってこと」
「…」
「でも、信じてるよ。あなたの心が向いている先には私がいるって。こうして強く抱きしめてくれるのは、私だけって」
背伸びをして、彼の頬に唇を当てる。
「だから、帰ってきてね。私のところに」
そう言って精一杯の笑みを浮かべた。
レンは驚いた顔をするも、すぐに参ったなと笑う。
「俺の帰る場所が、他にどこにあるっていうんだい?本当に君って人は…どこまで俺を魅了するのだろう」
額に。
鼻に。
頬に。
瞼に。
首筋に。
そして、唇に。彼の甘いキスは落とされる。
「大好きだよ、。変わらない愛を、君に誓おう」
再び距離を無くした私たちを、輝く月が照らしていた。
まるで、2人の未来を祝福するかのように。