Let's play our music!【うた☆プリ】
第26章 さぁ、奏でよう
「華…ごめんね」
「どうして謝るの?」
「え…?」
「私、むしろ嬉しいのよ。あなたとレンくんが付き合うことになって。そして、あなたがそのことを私に話してくれて」
しかし、華は笑顔を浮かべて私を見た。
隠さないでくれてありがとうと、私の手を握って。
予想していた展開と全く違う今に呆然とする私を、彼女は間抜けな顔になってるからやめなさいとつついてくる。
その態度は今までと何も変わっていなくて、壊れるものがあると覚悟していた私を更に拍子抜けさせた。
「それにね、謝らないといけないのは私の方」
「?」
「私、がいない間に告白したの。レンくんに」
「………は?!?!」
そこに投下された爆弾発言。
驚きのあまりに相当大声を出してしまい、一気に注目を集めた私は必死にその場をごまかして再び華に詰め寄った。
「こ、告白したって?どゆこと?」
「焦らないでよ、きっぱり振られてますから。今更あなた達を引き離す真似はしないって」
「そういうことじゃなくて!」
からかうように、どこか論点をずらしてくる彼女に粘り続けること数分。
ようやく話してくれる気になったらしい彼女はやや目を伏せた。
「ほんとは、がいない時にするつもりじゃなくて、あなたに宣言した上で告白するつもりだった」
「…」
「でも、あなたは退学しちゃって…それからレンくんが日に日に元気を無くしていくのが目に見えて分かって。それが見てられなかった。私が支えてあげる、あなたの隣にいたいって、衝動的に言っちゃったの」
結果は玉砕。
そう言って華は笑う。その声が乾いていて、傷がまだ癒えていないことが容易にわかった。
「…ごめん、嫌なこと話させたね」
「ううん、良いって。だから勝手に告白したのはお互い様って話をしたかっただけ。それにレンくんも元気を出してくれたし」
「そっか…」
「君に悲しい顔はさせてられないねって…もう、十分すぎる笑顔で。だから、いいの」
上を見上げて、自分に言い聞かせるように話す彼女の目は少し光っていたけど、そこには触れなかった。
華の長年の想いを報われないものにしたのは私だったから。
その目尻を拭う資格は無いように思えた。
「それに、も幸せそうだしね」
私に出来るのは、今後の人生を幸せに生きることだけだ。