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Let's play our music!【うた☆プリ】

第26章 さぁ、奏でよう



「つ、疲れた…」


翔と那月の追いかけっこから数分。
早くも2人を追いかけることに疲れた私は戦線を離脱し、飲み物を貰いに行くことにした。

あの2人速すぎる。
そして私の体力がなさすぎる。

アイドルとしてトレーニングを積んできた2人と、やめてから何もしてなかった私ではその差が歴然。
トレーニングしようと固く心に誓った私は、受け取ったジュースを一気に飲み干した。


「ちょ、ってば一気飲み?」

「華…えと、ダメ?」

「淑女的には…微妙かな」


そばにやって来た華は苦笑混じりにそう言うと、自分のグラスを傾ける。
様になってるなぁと思うと同時に、ふと思うことがあった。


「ねぇ、華」

「なに?」

「もしかして私たち…久しぶり?」


沈黙。

やがて。


「…そうだったね。久しぶり、」


感動も何も無い、再会の挨拶が交わされた。





「突然いなくなって、ごめんね」

「ほんと、酷いよ…でも、また会えて良かった」


グラスを片手に、少しずつ。昔の話を始めた。
初めてあった時から、たくさんのことがあったねと。

楽しかったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと。
そのどれもが今はいい思い出で。


「覚えてる?が初めて私に本音を話してくれた時のこと」

「もちろん。レンが好きって…伝えた日だよね」


そして、私は言わねばならない。この友に。
私とレンが選んだ選択を。

もう隠し事はしないと、その日約束したから。


「そう、今でも変わらない?」

「もちろん…あの、あのね、華」


目の前で微笑む早乙女学園で初めての友人を、ルームメイトを、悲しませることになっても。

隠したことであなたの顔を曇らせることだけは、もうしないと決めたから。


「私、レンと…付き合うことになったの」


華の表情は変わらなかった。
ほんの少し目を見開いた程度で、その瞳には怒りも悲しみも映らなかった。

それが尚更、怖かった。

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