Let's play our music!【うた☆プリ】
第26章 さぁ、奏でよう
その約束をまだ覚えていてくれて、それだけでなくグッズの調達までしてくれていたなんて。
「あり、がと…那月」
「いいえ。僕が欲しかったものもありますし…それに、あなたに良く似合うと思ったものを買いました」
「私に?」
「はい。あなたが着けたら、きっとと〜っても可愛いと思うものを厳選したんですよ」
渡されたグッズに自然と目をやる。
私に似合うと思って、那月が買ってくれたもの。たかがグッズなのかもしれないが、どんな宝より高価に見えた。
「嬉しい。那月、1番私に似合うのはどれ?」
「そうですね〜、このピヨちゃんカチューシャなんてどうですか?」
「那月、お前それお揃いでするつもりなのか…?!」
後ろから翔の焦った声が届き、確かにと思わず笑ってしまう。
でも那月なら似合う気がした。黄色の似合う、彼なら。
那月が選んだ黄色のカチューシャは、ピヨちゃんが模様として描かれていてとても可愛い1品。
こんなものが似合うのだろうか、不安はまだあるけれど。
もう、自分に嘘はつかない。
そう約束した。
「どう、かな。似合う?」
好きなものは好きだから。着けてみたいから着けるのだ。
カチューシャを頭にはめ、2人の方を向き直した。
その瞬間、那月の顔は花が咲いたように華やぐ。
「とっても可愛いです!!」
「おう、よく似合ってるぜ」
これでお出かけするの楽しみですねと手を合わせる那月。
お前も着けるのかよと未だこだわる翔。
そんな2人に混ざって笑う瞬間が、これからも続けばいいと思った。
「もちろん僕も着けますよ!……翔ちゃんもね!!」
「げぇっ?!着けるわけねぇだろ?!」
「…えっと、既視感がするよ?」
とりあえずこの瞬間は、翔が無事逃げ切るのか、それとも那月がカチューシャを翔に装着するのか、見届けることにしよう。