Let's play our music!【うた☆プリ】
第24章 またここから始めよう
その時。
身体がふわりと温かいものに包まれた。
「………え?」
何が起きたか分からない。
私は今、誰に抱きしめられているのか。
否、この場にいる人間は私以外には1人しかいない。
正確には、誰かは分かりきっているけれど、どうしてその人が私を抱きしめているのかが分からない。
「レン…?」
「俺は、子羊ちゃんの曲が好きだ。彼女自身も大切な仲間だと思ってる…でもね、レディ」
耳元で囁く彼の声は心なしか嬉しそうだ。
声に滲む隠しきれない歓喜、それにつられてか彼が私を抱きしめる力も強くなる。
対する私は何が何やらさっぱりで。
ただ、少しずつ高まってくる心臓の鼓動を感じながら彼の言葉を待つばかりだった。
「俺は、君にも助けられた。そして君を助けたいと思った。こんな気持ちは初めてだよ…他の誰でもない、俺が、君を守りたい。慈しみたい。癒したい。支えになりたい。そう思ったんだ」
彼の言葉の1つ1つが、私の心に染み渡る。
それはとても甘い言葉で、今までならまた遊ばれてると一蹴してしまうようなものなのに。
こんなにも愛おしく思うのはなぜだろう。
こんなにも、泣けてくるのはなぜだろう。
それはきっと、彼の声に今までにない色があるから。
優しさと、そしてひたむきさがあるから。
つう、と頬を伝った涙。
彼はそんな私の目尻に軽くキスを落とすと、泣きそうな笑みと共に言葉を紡いだ。
「好きだよ、」
もう限界だった。
こみ上げてきた涙も、そして彼を好きと思う気持ちも溢れ出てきて止まらない。
抱きついた私をちゃんと受け止めてくれたレンは優しく、どこまでも優しい手つきで髪を梳く。
その心地よさに目を細めて彼の首元に顔を埋めると、その温もりが直に伝わってきて、今の自分を実感できた。
「好き、大好き…レン…!」
「あぁ、俺もだよレディ。大好きだ…」
不意に体を離されたことで彼と視線が絡まる。
その視線はどこか熱っぽくて、私の身体も火照ってきそうだ。
きっと彼の視線に映る私も同じ瞳をしているのだろう。