Let's play our music!【うた☆プリ】
第24章 またここから始めよう
ようやく告げた言葉を前に、彼は何も発さない。
混乱しているのか、当惑しているのか。
どちらにせよ歓迎はされないと思う。
彼は1度私ではなく春歌を選んでいるのだ。
この想いは実らないだろうことは覚悟をしていた。
それでも何も言わずに終わるのは嫌だから。
それはきっと華にも失礼なことだから。
だから、今日彼に誘われなくても私はいずれ彼に想いを告げるつもりでいた。
誘われて、言えそうな雰囲気になったから予定が早倒しになっただけ。
だから、大丈夫。
心が切り裂かれるような返事でも、受け入れる。
そんな意味を込めて、未だに何も言わない彼に微笑みを浮かべた。
「俺は…卒業オーディションのパートナーに子羊ちゃんを選んだ」
レンが、絞り出したような声で呟く。
彼の表情は少し辛そうで、それが答えを教えてくれているようだ。
「うん、知ってる。申し込んでるとこ聞いちゃったんだ」
「なら…話は早いね」
そう、分かってるんだ。
あの時レンが春歌を選んだ時点で私のこの想いは報われないってこと。
だけど言ってしまうのはなぜだろうね。
叶わないってわかっていても、この気持ちを告げずにはいられなかった。
「聞かせて。あなたの答えを」
それがどれほど辛いものだとしても、ありがとうと笑うから。