Let's play our music!【うた☆プリ】
第24章 またここから始めよう
「そう、だったね」
そしてその先はあれ以降話題には出していない2人の秘密。
けれど、彼がここに来たということは。
あそこで止めてしまったこの想いに、決着をつけようということだろう。
「君は、覚えているかい?…あの日のことを」
さっきと同じようで、意味の異なる質問だった。
もし私が覚えていない、と答えれば。
私たちはこのまま何事もなかったように帰るだろう。
恋愛などなかったと。このままアイドルとして活動を始めるレンに迷惑をかけることなく。
ただの仲間でいられる。
でも。
「忘れるわけ…ないよ」
レン。
私の想いは、あの時と変わらない。
それどころか、もっともっと大きなものになった。
あなたがもし許してくれるなら。
伝えたい言葉があるの。
「………レン。あなたがアイドルだってことは分かってる。だからこんな想いは邪魔でしかないだろうし、付き合ってほしいなんて思ってない」
私からやや離れたところに立つレン。
そんな彼に1歩ずつ近付いていく。
あの日とは違って、私からその距離を詰めていく。
もう逃げない、もう惑わない。
「それでも、聞いてほしいの。私が言えなかった言葉。伝えたかった言葉を」
ねぇ、レン。
私はたくさんあなたに助けられてここまで来たんだよ。
初めての課題でパートナーが決まらなかった私に手を差し伸べてくれたのがあなただった。
華のホームパーティーで緊張してた私をほぐしてくれたのもあなたで、約束通り最初に拍手を送ってくれた。
私にたくさんのことを教えてくれて、優しさをくれた。
軽薄そうに見えて真面目で、音楽が大好きで。
人のことをきちんと見ていてなんだかんだ仲間思いなあなた。
そんなあなたに出会えたことを、本当に感謝している。
「レン。あなたが好きです」