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Let's play our music!【うた☆プリ】

第24章 またここから始めよう




大成功に終わったデビューライブ。
皆がそれぞれに喜びを抱えて寮に戻っていく中、私とレンだけは違う場所に向かっていた。


“、俺に君の時間をくれない?”


解散して私も麗奈たちのところに戻ろうとした時、そう呼び止められて、断る理由もなく彼の車に乗った。

運転手の人がいるから私もレンも後部座席に座っていて、話そうと思えば話せるのに、お互い口は開かない。


ほんの少しの不安と、期待を胸に抱く。


彼の用事が何なのかさっぱり予想がつかない。
再会した後、彼はずっとぼんやりしていてまともな会話を交わせていないのだ。
私が消えたことに怒っているのか、再会に喜んでいるのか、何も読み取れなかった。


今も彼は窓の外に視線をやりながら、厳しい表情をしている。
そんな彼をちらりと見たあと、私も同様に窓の外へと視線を移した。







やがて車が止まったのは豪邸の前。
この家には見覚えがあった。

HAYATOのライブで熱を出した私を彼が連れてきたところ。

そして私たちがキスしたところだ。


あそこで、私は1度私の想いを封印した。
あの一瞬だけ彼の特別になって、そこで仲間に戻ろうとした。

結局は想いは膨らむばかりだったのだけど。



「懐かしいね、この場所」

「覚えてるかい?あの日のこと」

「もちろん。寝起き早々私がレンに土下座したんだよね」



今でも眼に浮かぶその光景に同時に笑みをこぼす。
財閥の人に迷惑かけたと焦った私はとりあえず謝るしかなくて、彼に苦笑いで止められたんだっけ。

昨日のことのように、鮮明に覚えている。



「初めて聞いたレンの歌、素敵だったなぁ」

「突然歌が聞きたいなんて言うから驚いたよ。気に入ってくれたのなら良かった」



思い出話は尽きない。
あんなことがあった、こんなことがあった。この部屋で起きたことを1つずつ確かめていく。

吐露した私の不安。それを包んでくれたレンの優しさ。
かつてないほど湧いた創作意欲。翔との通話。



「そして俺が…おチビちゃんに嫉妬して君を引き止めたんだ」
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