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Let's play our music!【うた☆プリ】

第3章 再会と初授業


さて、問題は私の方だ。

華と食事を終えて始まった午後の授業。

「今回限りのペアを作ってくれ。伝え忘れていたが、そのペアでレコーディングテストを行う」

日向先生の一声で生徒は立ち上がり、思い思いに声を掛け合う。
でも、私はその輪に加わることが出来なかった。

さっきの林檎先生の言葉が引っかかっていたのだ。

「アイドルから作曲家って…ふざけてるの?」

その時耳に入ってきた言葉。
声のした方を見ると、喋ったと思われる女子生徒とは真っ直ぐに私を睨んでいた。

「睦月麗奈と組んでたから、自分も出来ると思ってるんでしょ」
「あの人が別物なだけってすぐわかるわよ」
「アイドルやめたこと、どうせすぐ後悔するって」

1つ認識すると、他の言葉も次々と耳に入ってくる。
痛いくらいの視線、悪意のある言葉。
アイドル時代も中傷なんてあったのだから、このくらい耐えられると、

思っていたのに。

「……っ…」

冷や汗が止まらない。
呼吸の仕方がわからない。

直接ぶつけられる言葉は、こんなにも痛い。
悪意が突き刺さって、気持ち悪い。

嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


誰か、助けて…









「レディ、1人かい?」
「っっ?!」

掴まれた腕の先を見ると、そこには神宮寺レン。
にこやかに微笑んでいる彼にも、私のことは知られているだろうに。
今の言葉だって聞こえているだろうに。

「良かったら、俺とペア…組まない?」

神宮寺さんは意に介していないように私に手を差し伸べている。
思わず縋るようにその手を掴んでしまった。

よろしくと微笑んだ彼は日向先生に報告しようと私を立たせ、他の生徒から守るようにして誘導してくれる。

「、大丈夫?顔色悪いよ」
「あ…大丈夫、ありがとう」

その後ペアを組み終わったらしい翔くんと華がやって来て、ようやくほんの少し肩の力が抜けた。
気にしない方が良いよと励ましてくれる皆の言葉が物凄くありがたい。

でも、私が落ち着くまで掴んだ手を離さないでいてくれた神宮寺さんの手の温もりが、何より安心出来た。
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